古代アテナイの歴史家トゥキュディデスの訳書です。500ページ以上あり読み応えがありました。
トゥキュディデス 歴史〈1〉 トゥキュディデス(Thucydidis):著、藤縄謙三:(翻訳)
前431年のギリシア世界を二分するペロポンネソス戦争から書かれています。ヘロドトスと並ぶ古代ギリシアの代表的歴史書です。ヘロドトスの韻文で書かれた叙事詩と、トゥキュディデスの散文で書かれる実証的な歴史文との違いは、実際兵を率いてトゥキュディデス(ヘロドトスは軍事経験が無い)だから こそといった部分も多いように感じます。アテネやスパルタの政治家や将軍による演説が多数収録されているので、当時の政治と軍事の論理や弁論などについて参考になる部分が非常に多いです。ページ内に注釈が入っていることと、地図が7点入っているので読みやすいのですが、如何せん単調なので眠くなってしまいました。
なぜ古代ギリシアの歴史の本を読もうと思ったのかですが、世界初の民主化という部分にも興味がありましたが、戦略の語源が古代ギリシア語の「strategie 」「strategia 」「strategos 」「stratos 」など、色々な説がありましたので、実際どうなのだろうと思い、調べまくりました。(戦略に関しては後日別に記事を書こうと思います。)
ちなみに、はじめは原文で読もうと思い古代ギリシア語辞典片手にチャレンジしたのですが、途中で諦めてしまいました。(途中リタイアは、自分としては結構珍しいことなのです。) 理由は読みにくいから。以下に洋書を途中まで読んで、読みにくいと感じた理由をあげます。
- センテンスが長くて構文が込み入っている。
- 省略が多い、代名詞が多い。
- 演説部分がメチャメチャ難解すぎる
この部分に関しては、ギリシアの散文全般、近代ヨーロッパの散文にも共通した文章構成といえますが、そのなかでも「トゥキュディデスらしい」文章で読みにくかったです。
ただ読む方も難しいけれど、トゥキュディデスもこだわって書いた(のだろうと思う)感じが伝わってきて、書く方も大変だったんだろうなと感じました。
原文: Thucydidis Historiae (archive.org)(鉛筆による書き込みが入っています。)