組織デザイン(組織設計)とは、分業と調整のメカニズムの組み合わせです。
組織デザインを行う(組織を設計する)には、組織の管理原則に 照らして、次のような点に留意する必要があります。
- 指揮命令系統の一貫性と明確さを担保すること(命令一元化の原則や権限・責任一致の原則に従う)。
- 意思決定の権限を集中させるのか(集権型組織)、分散させるのか(分権型組織)を決めること(専門化の原則や統制範囲の原則に照らして検討する)。
- 効率性と生産性が最大化するように、人材の持つ専門性を活かすための「分業」と、組織としての「協業」をうまくミックスすること。
- 各単位組織に特徴をもたせる「分化」と、部門間を協調する「統合」のバランスを保つこと。
そのなかで、組織デザインのなかでも重要な、「分業」と「調整のメカニズム」について説明したいと思います。
分業のメリット
アダム・スミスの分業のメリット
分業の原理は、18世紀に著されたアダム・スミスの有名な「諸国民の富の本質と原因に関する研究」(国富論)にて、分業のメリットは、以下の3つをあげています。
- 個々の作業への習熟
- 段取り換え時間の節約
- 機械の発明
ですので、仕事を分担する際の基本原則は、以下の3つが重要です。
- 作業を習熟しやすい範囲を考えること
- 段取り換えをしなくてよいようにすること
- 機械化できる部分は機械化すること
チャールズ・バベッジの分業のメリット
バベッジは、著書『機械化と工業化がもたらす経済効果』(On the Economy of Machinery and Manufactures) では、こんにち「バベッジの原理」と呼ばれるものを描いています。(バベッジはコンピュータの父として知られている人です。)
熟練した賃金の高い労働者は、常にスキルを最大限に発揮しているわけではありません。その仕事を分割して複数の労働者を雇えば、スキルを要する仕事だけを熟練した労働者に割り当て、他の比較的簡単な仕事は別の熟練していない労働者に割り当てることができ、全体として労働コストの削減になるというものです。
調整のメカニズム
分業の結果として、分割された仕事を相互に調整して、全体のまとまりを作りあげなければならなくなります。組織が使用する調整方法は大まかに分けると、事前準備と例外処理です。
事前準備
事前準備の典型は、各人の仕事の手順を事前に細かく決めておくことです。事前に手順を決めておけば、わざわざ調整について気を使わなくても、おのずと調整が達成されるはずなのです。
例外処理
変化の激しい時代には、事前準備だけで対応することは不可能です。事前に予測の立たないことは、準備することができないからです。不確実性が高い環境のもとでは、事前準備の例外が多発するので、その例外処理が必要になります。
例外処理のなかで最も単純なものは、ヒエラルキー(階層)です。何人かの人たちを直接監督し、その人たちが判断できない例外を処理して組織の調整活動を遂行するための管理者を置くことです。
英語
Organization design