コーポレート・ガバナンス(企業統治)

コーポレート・ガバナンスは「企業統治」と訳され、アメリカ企業に典型的な「株主重視の経営」を指して使われることが多い言葉ですが、本質的には「企業はだれのものか?」という議論です。

意味

一般には、「株主をはじめとするステーク・ホルダーの意見を経営の健全化にいかに反映するか」という問題としてとらえられています。
アメリカの企業を研究したバーリーとミーンズは、1930年代にはすでに株式会社における、株式所有の分散化が進み同時に「所有と経営の分離」が顕著であることを突き止めました。これは資本の提供者である本来の会社の所有者である株主が分散化してしまった結果、経営を支配するのは”プロ”の経営者に移っていったことを意味します。そしてアメリカでは1960年代に経営者の怠慢が指摘されるようになり、その反省として、経営者が投資家である株主を最優先する「株主至上主義」が生まれ、現在もこの考え方が多くのアメリカ企業の根底にあります。

  • アメリカ型のコーポレート・ガバナンス
  • 特徴
    • 株主至上主義であり、株主の利益を代表する取締役会が経営者を選ぶこと。
    • 経営者が外部から招聘されるケースが比較的多いこと。
    • 株主の利益を代表する取締役会と企業の執行部門の分離が明確であること。
    問題点
    • 株主の利益(典型的には株価の上昇)を最優先させるため、経営者が短期的な利益の追求だけを目指すようになる点。(人材育成や研究開発など中期的な投資を行わなくなる。)
    • 経営者の地位が不安定で、企業に対する忠誠心が低下する傾向がある点。
    • 株主の意向があまりにも重視されるために、経営者と従業員との関係が敵対的になる場合があり、従業員の企業に対する一体感や貢献意欲が低下する懸念がある点。
  • 日本型のコーポレート・ガバナンス
  • 特徴
    • 終身雇用制とあいまって「従業員主権」の色彩が濃い。
    • 経営者の任免が経営者自身によって行われることが多い。
    • 経営者が社内から選ばれることが多いこと。。
    • 株主以外のステーク・ホルダー、特に取引先や銀行(中でもメインバンク)が経営に対する発言権を持つことが多いこと。
    • 株式の持ち合いが行われ、株式の分散化が抑えられてきたために、特定の大株主の意向が経営に大きく反映されること。
    問題点
    • 執行部因の最高責任者である社長が取締役会の会長を兼任しているケースが多いため、経営者の権力が非常に強い点。
    • 本来の企業の所有者である株主を軽視する傾向がある点(低い配当金など)。
    • 内部出身の経営者が多く、大胆な企業変革が行えない点。
    取り組み
    • 経営者である社長の意のままに動くように形骸化しているという取締役会に、学識経験者や他の業界の人などを社外取締役として迎え、取締役会本来の経営監視機能を復活させようという試み。
    • 業務の執行に専念し、取締役を兼務しない「執行役員」を配置(執行役員制)して、経営の監視と業務の執行を明確に分離しようという動き。
    • 情報の開示(ディスクロージャー)を積極的に行い、IR活動を強化するという動き。

英語

Corporate governance

豆知識

corporate は「企業の」という意味です。

governance は「統治」という意味です。

governance は「政府」を指すgovernment の類縁語で、「舵をとる」という意味のラテン語の動詞guberno に由来します。船の舵をとるところから「導く、支配する、管理する」へと意味が拡大していきました。

「企業の統治はガバっなんス!(governance )」なんてダジャレを考えている時点で、この用語集のレベルが…。